民法改正、賠償責任について
120年ぶりに民法が改正されるということで話題になっております。
契約書を作成するにあたって民法は非常に大事です。
大手メディアでは、定型約款や、利率、時効の話などが大きく取り上げられています。
最近、1次ソースから情報を得ることの大事さを覚えた私としては、ニュース記事ではなくて、実際の要綱を読んでみたいと思いました。
民法(債権関係)の改正に関する要綱案
件の要綱案は
http://www.moj.go.jp/content/001132665.pdf
においてあります。
本当に改正量が多くて、1個ずつ読んでいくのは骨の折れる作業です。
そこで、以前の記事と関連付けて1個だけ紹介しようと思います。
第 11 債務不履行による損害賠償
以前、当ブログでは契約書に定めてある賠償責任の制限を超えて損害賠償を支払った件を紹介しました。
損害賠償の範囲
この件と関連する現行民法は以下のモノです。
(損害賠償の範囲)
第四百十六条 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。
一方、要綱によると
損害賠償の範囲(民法第416条関係)
民法第416条の規律を次のように改めるものとする。
(1) 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害 の賠償をさせることをその目的とする。(民法第416条第1項と同文)
(2) 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべ きであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる。
ということで、予見すべきであったときという表現に変わっています。
賠償額の予定
また、賠償額についても改正が予定されています。
現行民法では
(賠償額の予定)
第四百二十条 当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。この場合において、裁判所は、その額を増減することができない。
2 賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。
3 違約金は、賠償額の予定と推定する。
とありますが、要綱によると
賠償額の予定(民法第420条第1項関係)
民法第420条第1項後段を削除するものとする。
ということで、裁判所が賠償額を増減できるようになります。
まとめ
大手メディアさんは取り上げていませんが、損害賠償に関しても大きな改正がなされるようです。
システム会社の方など、損害賠償について意識しなければいけない方はよく理解する必要がありそうです。