アルジェリアの高速道路工事で契約書に不備があった話
今日は、契約書に不備があったため、企業が痛い目にあった話です。
どんな契約?
アルジェリア国内を東西に横断する約1,200kmの高速道路を3工区(東工区、中工区、西工区)に分けて建設するもので、そのうち東工区の約400kmを鹿島建設・大成建設・西松建設・間組・伊藤忠商事のJV(ジョイントベンチャー)が5,400億円で受注した契約です。
工事は順調に進んだの?
契約後にJVが受け取った基本設計は、整合性がなくやり直しが必要でした。そんなこんなで、基本設計がやその承認が終わるまでに2年もかかってしまいました。
深刻な治安悪化、契約紛争…アルジェリア高速工事の現場は今 :日本経済新聞
さらに、2013年にはアルジェリアで人質事件が発生し、治安が悪化しました。その結果、日本人キャンプに鉄条網を張り巡らせるなど、大変な状況だったようです。
そして、アルジェリア政府からJVへの支払いは滞り、JV側は第三国裁判所に仲裁を申し立てました。
で、契約書の不備って何?
JV側が仲裁を申し立てたものの、アルジェリア政府は仲裁を拒否しました。
国際仲裁を実現するためには、契約書内に仲裁条項「どこの国で、いかに争うか」を明記し合意する必要があります。今回の契約書には、その仲裁条項が書かれていなかったそうです。
JV側は口頭での合意があったことを主張しているそうですが、口頭での約束では分が悪いです。今回の件では、伊藤忠商事や大手建設会社が関わっており、法務的にもちゃんとやってそうですが、このような問題が生じてしまいました。
トラブルを想定して契約書を作成することがいかに難しいかがわかります。金額もでかいだけに損害も大きくなりそうです。
記者:うえだ