SEが契約を勉強してみたブログ

クラウド勉強会で知り合ったSE3人が法律、契約の話題で盛り上がり、勉強がてらブログはじめてみた。

押印(捺印)と署名と記名

さとうです。今日の朝は、風強かったですね。 頭のなかで「きたかぜとたいよう」の世界観がフラッシュバックして。なんだか不思議な目覚めでした。


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今日は、押印(捺印)と署名、記名について書いてみます。

 

 

契約書の最後は、甲/乙それぞれの住所/会社名/代表者名が書かれてて、代表者名の横に代表者印(会社の実印)が押されてる。っていうのが、日本の契約書なわけだけど。

 

以前、アメリカの会社と契約した際、社長の署名(サイン)をくれ。と言われて焦った記憶がある。だいたいの場合、社長が細々とした契約書を実際にチェックすることはないから、代表者印を押す場合は、管理部門内の代理の人が代表者印を押すわけで。 でも印鑑だったら代理が押せるけど、署名の場合は、本人が書かなければならない。

 

印鑑と署名。証拠能力として、どっちが優れてるんだろう?

 

もんもんとしてきて、調べてみた。まず、印鑑や署名関係の基礎用語確認から;

 

・捺印:「押印」とほぼ同じ。「署名捺印」のように使われることが多い。

・押印:「捺印」とほぼ同じ。「記名押印」のように使われることが多い。

・署名:本人が、氏名を書くこと。

・記名:代筆/印刷/ゴム印等で、氏名を書くこと。

 

で、契約書に表現されるパターンとしては;

 

A: 記名

B: 署名

C: 押印

D: 記名押印

E: 署名捺印

*捺印と押印は同じ意味とする

 

となるんだけど。訴訟になった場合、証拠能力はどのように順位付けされれるんだろう?と思って、また調べてみた。

 

商法・第32条にこんな一文がある;

32条 この法律の規定により署名すべき場合には、記名押印をもって、署名に代えることができる。

なんと。記名押印は、署名すべき場合の代替手段だったのかっ!!

 

ということは、先のA〜Eを重要順に並べてみると;

 

1位:署名捺印(署名に加えて、印鑑もある。完璧!)

2位:署名(商法に書かれたとおりにやりました!)

3位:記名押印(署名の代替手段をとりました!)

予選落ち1:押印(わざわざ印鑑を押しているのに、記名or署名が無い?)

予選落ち2:記名(誰でも偽造できる)

 

という感じになりました。

 

てか、自分が関わっている契約書は、ほとんど全ての場合「記名押印」してるけど。それってほんとは、代表者が署名すればよいことなんだね。

 

でも。「よーし、明日から印鑑いらずだぜ!」ってならないところが、実務における法律の難しいところですね。署名だけで契約書つくったとしても、相手の会社からほぼ確実に「あのー・・・印鑑お忘れですよ。」って言われて終わりだろうな。それにいちいち反論してたらなんか、空気よめない人みたいだし。

 

なんか法律関係って、空気読むの大事なんですね。今日ちょっと話をした弁護士さんも「司法試験受かるには、空気読む力が大事」って言ってたけど。なるほどなー。。。